tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

金利と貯蓄のパラドックス(低金利の罠)

2016年09月20日 11時05分01秒 | 経済
金利と貯蓄のパラドックス(低金利の罠)
 通常、経済学では、金利を上げれば貯蓄が増えることになっています。今はゼロ金利の世の中ですが、その中でも金融機関は、0.001パーセントでも高い金利を付けて預金を集めようとしますし、皆様方も、出来るだけ利息の高いところを探します。

 その心理を利用して、ビックリするほど高い金利を掲げ、おカネを集める詐欺まがいの者が出たりしてマスコミを賑わせます。

 今のゼロ金利は、景気刺激のためです。金利が低ければカネを借りてビジネスをする人が増えるだろうという想定です。

 しかし、金利を下げれば下げるほど、極端に言えば金利ゼロにすれば、無限に経済活動が活発になるかというと、そうはならない。ものには限度があるというのが「 流動性の罠」(金利を下げていくらでもカネを貸しても、限度を超えれば効果がなくなる)で、現実はそうだという事がこのところ知られてきています。

 それではこれを金融活動の反対側、貯金をする人の方に振り替えて考えてみましょう。
 もともと経済理論は、金利を上げれば貯金をする、金利を下げれば貯金しないで消費活動に使うことになる、というのが理屈です。

 ところがどうでしょうか、今は金利などスズメの涙で100万円を1年預けても、利息より銀行へ行くバス代のほうが高いのが現実です。(昔は5万5千円利息が付きました。)
 それなのに、前回のブログの消費性向の統計を見てください。消費は増えずに、家計は貯蓄に励んでいます。

 これはまさに「低金利の罠」とでもいうべきパラドックスでしょう。「ゼロ金利にすると貯蓄が増える」という事になっているのです。

 貯蓄というのは、貨幣の「価値の貯蔵」という機能を利用して、将来の生活のために購買力を貯蔵しておくという事でしょう。
 金利が付けば、貯金は自然に増えますから、その分安心です。しかし、金利が付かないと、自分で貯金を積み増さなければ貯金は増えないのです。

 今、家計は、利息が付かないのなら貯金を自分で増やすしかないと貯金に励んでいるのでしょう。いわば自分の貯金に、銀行がつけてくれないからと、自分で利息を付けているのです。

 今日と明日は、日銀の金融政策決定会合です。日銀はマイナス金利をさらに進めるのでしょうか。
 日銀は通貨価値を守る番人です。その日銀が、「 通貨(おカネ)当面邪魔者でしかない」という意味の「マイナス金利」を深堀するようなことの無いように望みます。

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